2022年12月15日 (木)

ご相談内容

「痛みはないが歯茎が腫れていて、歯磨きの時にも毎回出血するので歯周病か診て欲しい。特に奥歯が気になる」とご相談をいただきました。

カウンセリング・診断結果

診察したところ、全体的に歯茎が腫れて炎症を起こしており、出血も見られました。
歯茎からの出血の原因を調べるために、歯周ポケットの深さや出血部位などを調べる歯茎の基本検査の結果、歯周ポケットはそれほど深くなかったものの、細菌感染により歯の周辺が炎症を起こす「歯周病」でした。

また、磨き残しのチェックをしたところ、患者様が一番気にされていた奥歯はしっかりと磨けていましたが、喫煙の影響で、取りにくい汚れが前歯の裏側に多く付着していました。
親知らずが上下左右に合計4本、さらに上の左右には過剰歯が生えていることも、磨き残しが多い原因と考えられました。

患者様は「幼少期に歯医者で怖い思いをしてから歯科恐怖症になってしまい、なかなか通うことができなかった。今回をきっかけに口の中も歯科恐怖症も改善していきたい」と前向きにお話しされました。

行ったご提案・治療内容

歯周病の治療が必要であることと、普段のブラッシング方法や生活習慣の改善がお口の環境改善に必要なことをご説明し、ご理解いただきました。
また、歯周病のリスクを避けブラッシングをより正確に行えるように、親知らずや過剰歯を抜いた方がいいこともお伝えしましたが、患者様は「抜歯は怖いので少し考えたい」とのことで、当初は見送りました。

ブラッシング指導に積極的にご協力いただく中で、患者様は歯や歯茎の健康への意識が高まっていき、歯科に対する恐怖感も少しずつ改善していきました。患者様から「親知らず周辺がよく磨けていないと感じる」とお話があったので、再度抜歯をご提案したところ、「将来的な歯周病のリスクを考えると抜きたい」とご納得いただけました。

抜歯当日、患者様はとても緊張されていたので、レントゲンやお口の中を一緒に確認しながら抜歯の流れや方法をしっかりとご説明し、麻酔もゆっくり行いながら、患者様の負担が一番軽くなるよう努めました。抜歯後、「特に不快感や痛みは無かった」とおっしゃっていただけました。

その後は、麻酔を使って歯茎の下にある歯石を取っていく歯周病の治療を始めました。ただ、患者様は歯科恐怖症を完全に克服されたわけではなかったため、一気に取らず、上下左右8部分に分けて細かく治療を行いました。

また、食生活改善のための食事指導や、歯周病の再発リスクを下げるために禁煙指導も行いました。

歯周病治療は、歯科医院と患者様が協力しながら行うのが一番の近道です。特に、今回の患者様のように歯科に恐怖心を感じていらっしゃる場合、コミュケーションを大切にし、ご意見やご要望に丁寧に耳を傾け、なるべく痛みの伴わない治療をご提案することで不安なく治療に臨めるよう配慮しました。
これにより信頼関係を築くことができ、患者様の歯科恐怖症を改善しつつ治療を進めることができました。

術後の経過・現在のご様子

歯茎が引き締まり、健康的なピンク色になりました。汚れも軽めのブラシ圧できれいに取りきることが可能となり、禁煙も継続していただいています。
現在は、2ヶ月に1度の定期検診で歯茎のチェックをしていますが、経過は良好です。

この治療のリスクについて

・症状や病状、お口の中の環境によって施術回数が変わる場合があります。
・親知らずの抜歯後は、痛みが長引く場合があります。
・歯周病治療は、中断してしまうと十分な効果が得られない場合があります。

年齢・性別：20代男性

診療種別：保険診療

治療期間の目安：約1年6ヶ月

治療費総額の目安

保険診療内（3割負担）
初診：約3,000円
ブラッシング指導：約600円／回
抜歯：約1,500円/回
歯周病治療：約2,000円／回
定期検診：約3,500円／回

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